犬の毛で毛布を織った人びと――サリッシュ・ウールドッグはなぜ絶滅したのか

2026年9月8日、カナダのブリティッシュコロンビア大学(UBC)は、絶滅した「サリッシュ・ウールドッグ」の唯一知られる毛皮が、スミソニアン協会からUBC人類学博物館(MOA)へ貸し出され、カナダで展示されると発表した。ニュースとして見れば「珍しい絶滅犬の毛皮が戻ってきた」という話で終わりそうだが、実際にはもっと奇妙で、もっと重い。

この犬は、ただ毛が長い犬ではない。現在のカナダ西岸から米ワシントン州沿岸にかけて暮らしていたコースト・セイリッシュの人びとやマカーの人びとが、毛を採るために育て、刈り、その毛を毛布や衣類にしていた犬である。羊ではなく犬だ。しかも話は珍習俗の紹介では済まない。数千年かけて維持されてきた「生きた繊維生産システム」が、19世紀に急速に衰退していったという、文明と植民地化の話でもある。

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