犬の毛で毛布を織った人びと――サリッシュ・ウールドッグはなぜ絶滅したのか

2026年9月8日、カナダのブリティッシュコロンビア大学(UBC)は、絶滅した「サリッシュ・ウールドッグ」の唯一知られる毛皮が、スミソニアン協会からUBC人類学博物館(MOA)へ貸し出され、カナダで展示されると発表した。ニュースとして見れば「珍しい絶滅犬の毛皮が戻ってきた」という話で終わりそうだが、実際にはもっと奇妙で、もっと重い。

この犬は、ただ毛が長い犬ではない。現在のカナダ西岸から米ワシントン州沿岸にかけて暮らしていたコースト・セイリッシュの人びとやマカーの人びとが、毛を採るために育て、刈り、その毛を毛布や衣類にしていた犬である。羊ではなく犬だ。しかも話は珍習俗の紹介では済まない。数千年かけて維持されてきた「生きた繊維生産システム」が、19世紀に急速に衰退していったという、文明と植民地化の話でもある。

続きを読む

UFOまで自然保護局へ? ニュージーランドDOCに妙な相談が集まる理由

UFOが山に落ちた。玄関に黒猫がいる。ポッサムの糞を何とかしてほしい。さらには「人間とチンパンジーのMMAが計画されている」と心配する連絡まで――。

これらが持ち込まれた先は、警察でも動物病院でもテレビ局でもない。ニュージーランドのDepartment of Conservation(DOC/自然保護局)だった。

DOCが2026年9月14日に公表したところによると、2026年8月31日までの1年間に、カスタマーサービス部門が受けた電話は42,637件、メールは22,394件。そのうち2,977件は、DOCの仕事とは関係のない問い合わせだった。

業務外だった電話は全体の約7%であり、もちろん4万件超の電話すべてが珍相談だったわけではない。それでも、国民は、この役所をいったい何屋だと思っているのか。そうツッコミたくなるが、調べてみると話はそれほど単純ではなかった。

続きを読む